先日、灘校と開成校の校長先生の講演を聞かせていただきました。FBにも書かせていただきましたが、人格成長に重点を置き、それをベースに受験勉強をを各自がするように支援してゆくというスタンスを取ってらっしゃいます。これは両校に共通することです。また、これは学校教育の普遍的な指針でもあると思います。

開成の柳沢校長のお話の中で、学年300人の生徒のほとんどが学校が楽しいとアンケートで答えていると述べられてました。4,5名は学校が楽しくないと思っている生徒がいるのも確かです。他の学校さんではこの人数が実は多いのかもしれません。この「学校が楽しくない」という意見を持つ生徒さんを学校としては注意しなければいけません。どのような生徒が、そう思っているのか、そこに学校の改革すべきポイントが隠れているのです。授業がわからない、授業が易しすぎる、先生が怖い、先生が頼りない、勉強ばかりでクラブができない、課題が多すぎる等々、さらにそのような生徒さんを注意深く見てゆくと、発達に課題を持った生徒さんや、社会とは異なる価値観の中で育っている生徒さんなど、生徒さん自体が多様化しているのではないでしょうか。

上記のようないろいろな課題を持った生徒さんや発達の途中にある生徒さんにきめ細かく対応することが今の学校に求められています。今までは、学校が分化することで対応していました。受験に特化した学校、特別支援に重点を置いている学校、部活の力を入れている学校など、それぞれの学校が特色という言い方で特化してきました。しかし、現在はグローバル化や多様化の必要がありきめ細かい教育を考えなければならない時代になってきました。しかし、学校がそのようにきめ細かな対応をすればするほど学校のキャパシティがさらに必要となり、それらはすべて教師への負担となります。先日、公開されたデータでも、日本の教師の労働時間は世界でもっとも多いという結果でした。疲弊して心身症になる人も多い現状です。

そこで、この学校が抱えるこのような問題を解決してゆく方法があります。しかも、それを実践している学校もでてきました。学校自体で受験勉強から課題を持った生徒への対応、部活、教師研修、保護者対応などには限界があるので、学校という枠を外して、委託できるところは外部委託をすることです。もちろん、それは単に丸投げではなくしっかりと学校の運営方針を理解し、それを実現する方向で学校と共に活動します。現在、大阪に1ケース、京都に2ケースそのような委託関係があります。これは、予備校がやってような受験勉強の委託とは全く違います。あくまでも、本来の学校教育に戻すことを前提に、本来の学校教育をサポートすることが目的で行われる委託業務です。

灘校には「精力善用、自他共栄」、開成は「開物成務」という校是があり、それをいかに具現化するかを学校の責務としてらっしゃいます。このように、各学校には設立当初より根幹としている校是があります。それに即して、内部機関、外部機関の区別なく、そして外部の豊富な資源を利用してスクールモットーを具現化し実践してゆくのが今後の学校の姿ではないかと思います。